大きな声で応援して一喜一憂する…大人になるとこういう経験はなかなかないでしょう。ですが、競馬場ではレースのたびにこういったことが行われています。見たことがない人にとっては単なる馬同士のレースに見えるかもしれません。ですがそこには、競走馬を育ててきた生産者やレースに出走できるように鍛えてきた調教師、馬たちを支える馬主など、たくさんの人たちが携わっています。レースに出ている馬たちはその人たちのさまざまな思いを乗せて走っている訳です。
レース中、馬のパフォーマンスを最大限に発揮するために努力しているのが騎手。自分の身体と技術で馬をコントロールし、時速60キロ以上の中でライバルたちと競い合う姿はプロアスリートそのものです。数センチ差の勝負の世界で戦い続ける姿は、競馬ファンの心を熱くしてくれます。
騎手の特徴は、なんといっても選手生命の長さ。どんなスポーツにも競技年齢と呼ばれる考え方がありますが、騎手はそれが比較的長いといわれています。騎手は競馬学校の試験に合格して一定の養成機関を経たあと、騎手免許試験の合格と免許の交付が完了して初めてデビューすることになります。(詳しいなり方についてはこちらもご覧ください→競馬騎手になるには?)
騎手としてデビューできるのは18歳以降。若さや勢いでいきなり活躍する騎手も中にはいますが、20代、30代とキャリアを重ねることで経験と技術を身につけていく人がほとんどです。40代にピークを迎える騎手も少なくありません。50代にもなるとほとんどのアスリートは引退していきますが、その時点でトップジョッキーとして活躍している人も多くいます。
ただどれだけ競技年齢が長いといっても、必ずどこかのタイミングで引退することになります。ケガなどの理由で辞めざるを得ないという人もいるでしょう。騎手は馬に関してのプロであることはもちろん、馬を乗りこなすという特別なスキルを持っています。競馬の世界は、こういった騎手の能力を活かせるセカンドキャリアが豊富なのも魅力です。例えば調教師。馬を管理して鍛えていく調教師は、騎手と並ぶ競馬の主役といえます。そして調教助手。厩舎で働きながら、ふだんの調教の際に騎乗する仕事です。その仕事を辞めたあとも同じ業界で働けるというのも、騎手のよさではないでしょうか。