不特定多数が使うオフィスビルや商業施設、学校、病院、ホテルなどでは、万が一のときでも被害が最小限に抑えられるようにしておかなくてはいけません。それを法的に定めているのが消防法。消火器設備、警報設備、避難用具といった消防設備の設置と定期点検を義務づけています。これらがあるからこそ、私たちは安全に施設を使うことができるのです。
消防設備の設置や点検、整備を行っているのが消防設備士と呼ばれる人たちです。安全管理者や衛生管理者と協力して防災計画や災害が起きたときの避難計画を立てたり、消防設備の知識を活かして避難訓練の計画・実施をしたりしています。消防署と企業の橋渡しをすることもある、施設の安全を守るプロです。詳しい仕事やリアルな待遇については求人サイトを見ると分かりやすいでしょう。
消防設備士は甲種と乙種の2つがあり、甲種は取得した類(特類と1~5類)に該当する消防設備の設置工事と点検・設備が行えます。乙種は消防設備の点検・整備のみで設置工事はできません。乙種については受験資格が定められておらず、誰でも試験が受けられます。甲種は乙種を取得したあと一定期間の実務経験を積むか、電気工事士などの資格を所有していると試験を受けられます。
施設の定期点検は、消防設備士の有資格者が行ってはじめて点検と認められます。そのため消防設備士は、ビルメン業界や消防設備の設置、点検を請け負っている会社からは一定の需要があります。ちなみに、消防設備士の資格をとると講習を受講するだけで消防設備点検資格者の資格が取得できます。これを持っていると資格区分に含まれていない消防設備でも点検を行えるようになるため、他の資格区分を取得するためのつなぎとして持っておくといいかもしれません。
消防法は、これから規制が厳しくなる可能性はあってもゆるくなる可能性はほとんどありません。消防設備士の資格が役に立たなくなるということもないでしょう。実務経験を積んだり関連資格を取得したりすれば、仕事の幅が広がって重宝されるようになります。消防設備の点検や整備は定年を越えてもできるため、長く働きたい人にもおすすめです。